刺激的なお客がいっぱいのニューオータニはおもしろい!2006年7月
『セレブな整形』に学ぶ
心にも傷を負いかねない美容整形の恐ろしさ
 『ニューオータニ』でご一緒した、元モデル、現ヒルズ族の奥様の話題を出したところで、ぜひ皆さんにご紹介したい本があります。その名も、『セレブな整形』! Z・ポール・ローレンスという、ニューヨークのトップ整形外科医の著書で、これは大変おもしろい。一般の患者さんの名前は仮名ですが、整形をしているに違いない俳優や女優の名前は実名で出していて、なおかつ、彼らの「お直し」を批評したりしています。
 「ポール・マッカートニーの顔は、私から見ると、取り返しがつかない変わりようをしたいい例である。永遠の若さを取り戻したというより、永遠のびっくり顔である」
 「メグライアンには問題点がある。彼女はある日突然、唇の形が目に見えて変わった。おそらくゴアテックスを注入したのだと思う。顔が笑っていても唇がまったく動いていないのがわかるはずだ」
 「シャロン・ストーンはボトックス注射の打ちすぎ、それも注射のしかたがまずい。適切なボトックス治療は解剖学に精通していてこそほどこせるものだ。もしも額が完全に動かなくなったら、結果は仮面である」
 といった具合に。こんなことまで書いていいの? と、こちらが戸惑うほどの暴露ぶりです。けれど、彼は昔、往年の女優キャサリン・ヘップバーンの顔の手術に携わったことを、誇らしい経験のひとつとして伝えています。ヘップバーンは皮膚癌を患い、癌細胞を切り取るため鼻と頬の一部を深く深く切除したとか。そして、その、手の施しようがないほどひどい傷跡をもとに戻したのが、ローレンス氏。術後も皮膚癌は何度も再発し、そのたびに再建手術をしたそうですが、その間、ヘップバーンは変わることなく上品で、気さくで、最高に優しかった、と。
 ローレンス氏は、ご自分の職業に誇りをもっていて、何も美容整形手術を否定しているわけではないのです。今は技術が発達しているから、女性の身体的なコンプレックスや、事故や病気で負った傷は、優れた医師の腕によって解決できる。女優やモデルが、自分の個性と地位を維持するために、商売道具である顔と体を直していくことは理解する。そのことで女性が幸せになれるのなら、素晴らしいではないか、と。
 けれど、知識や情報をきちんと得ない状態で、経験とセンスのない医師に手術を任せたり、バーゲン価格の治療に飛びついたりしては、あとで泣きを見るだけだと言っています。多くの美容外科医が商売目的のために本を出版しているなかで、彼はアンチテーゼ。何のために美容整形はあるのかという話を、ふんだんな情報とともにを提供してくれています。
 私は以前、自分の体がつらかったときに、指圧マッサージの上手な女の子に定期的にマッサージをしてもらっていました。受けていた場所が麻布で、その界隈には夜のお仕事の女性もたくさんいらっしゃるので、彼女たちについての話を小耳に挟みました。ほとんどの人が「お直し」をしていて、「毎日来てほしい」とリクエストしてきたひとりの女性は、腹部の脂肪吸引をしている、と。脂肪吸引をすると、周りの筋肉が、吸引した部分を必死に守ろうとして収縮するんですって。そのため、その収縮している部分を揉みほぐす必要がある。だけど、これがすっごく痛いらしくて、マッサージ師の子は「あんなに痛がる姿を見ていたら、私は絶対に脂肪吸引なんてしない! と思ったんです」と言っていました。私もマッサージをしてもらいながら、お腹に脂肪がたっぷりついていそうなふくよかな彼女を見て、同類、相哀れみ……。「うん。私たちはやめようね」と誓い合ったのです。
 美容整形は、一度手を出すとやめられなくなる、と言います。体にだけではなく、心にも傷を負いかねない。私はやはり整形手術は、最後の最後の手段であればよいのでは? と思っています。それよりも何よりも、ワタクシ金山叶佳の美意識や、モノの選び方を参考に日々を過ごしていただければ、1回10万円のレーザー治療を受けるより綺麗に、心豊かに暮らせると思いますよ(^o^)50代にして、お腹のまわりにどっぷりついた脂肪すら、いとおしくなれるというモンです(笑い)
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