セレブって、なあに?

「セレブ」と口に出せば出すほど、
薄っぺらくて恥ずかしい……

 皆さんはご存知ですよね? 「セレブ」とは「celebrity(セレブリティ)」の略で、辞書には「著名人、有名人」「名声、名士」と記載されていることを。それ、なの、に……、最近の日本の「セレブ」騒ぎは、いったいどうしたことでしょう。高級ブランドのパーティが「セレブパーティ」なんて言葉で形容されているから、どんな人が出席しているのかと思えば、「どこが……、セレブ(有名人)?」と思ってしまうようなかたがほとんど。
以前、作家の林真理子さんが、『週刊文春』のエッセイにお書きになっていた文章は非常におもしろく、真実を衝いていて、大変共感しました。一部を抜粋してご紹介しますね。
「女優さんやタレントさんは、そこのブランドのドレスや宝石を身につけている。(中略)ああいうのは貸し出しだということを知った」
「『あの人は今』的な歌手のかたが、やはり最新のドレスを着て、カメラに収まっている。一度や二度ではない。この人はファッションピープル欄の常連なのである」
「パーティに有名人を招ぶための、ブッキング会社があるらしい。セレブのかたがたのリストを持ち、何人かはギャラなしで、気軽に頼めるくらいの実力が必要だ」
「そういうパーティに出て、セレブと呼ばれたいと血眼になって頑張る人たちがいる。それはそれでよいことだ。やはり女と生まれたからには、パーティの華となってみんなにチヤホヤされたい」
 そして、林さんはラストをこう締めくくっていました。
「芥川・直木賞のパーティなど、私の若いときは、近づこうなどと夢にだに考えたことはなかった。(中略)資格を得るまではそのパーティには行かない。そんな風に考える私は古いタイプであろうか」
 まったく同感! 私は声高に叫んでしまいました(ということは、私も「古い」ということ?)。
 今日本で形容されているところの「セレブ」とは、もともとは、海外の女優さんやモデルさんが愛用しているブランド品を、ファッション誌が「セレブ御用達」と表現したのが始まりのようです。けれど、その意味合いが日本人にきちんと伝わらなかったのか、最近は「お金持ち」や「ブランド品を身につけている人」のことを「セレブ」と言うみたい。
本来「著名人、有名人」「名声、名士」という意味をもつ以上、真の「セレブ」とは、才能に富んだ実力のあるかたに向けられる言葉のはず。けれど、今や、「セレブ」という言葉を口に出せば出すほど、何だか、薄っぺらくて恥ずかしい気持ちになるのは私だけでしょうか。今回は、この風潮を顕著に現している、ひとりの女性を例に「セレブ」について考えてみたいと思います。あ、それから念のため申し上げておきますが、この女性は数年前パーティで知り合ったかたで、私のクライアントさんではありません。大事なお客様のプライベートを暴露するわけではないので、ご安心を。
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